こんなせかいもあったのね

日々であったことをちょこちょこと。

小説、重松清の「みんなのうた」は、受験に失敗した人に読んでほしいと思う。

さて、大学入学試験の後期試験も終わり、努力が報われた人も、夢破れた人も、新たなステージへ一歩進まなくてはいけない季節。
 

この小説、受験がちょうど終わるこの季節になったら読みたくなります。

重松清さんの「みんなのうた

 

みんなのうた (角川文庫)

みんなのうた (角川文庫)

 

 

 挑んでも、上手くいかない。でも諦めきれない。そんな主人公の葛藤と、それを静かに見守る家族の愛というか。ちょっといい話。

 
主人公は地元では、秀才と噂され「東京大学」を目指すのですが、敢え無く不合格。それでも、もう一年がんばれば、と決意を固めるのですが、やはり上手くいかずまた浪人。結局3浪の末、夢破れて岡山の田舎へ帰郷します。
 
挫折とそれを認めたくない気持ち。
高校時代の優秀とされた記憶がもたらすエリート意識。一方で結局プライドが邪魔したせいで3浪したのに何者にもなれなかった劣等感。主人公の色々な気持ちと、地元の人達の繰り広げる、平和で平凡な日常がとても心を和ませてくれる一冊です。
 
私は敢えて、この小説は受験に失敗してしまった人に読んでほしいなあ。傷をえぐるかもですが、自分の次の出発に備えて心を整えるのにちょうど良い温度感の小説だと思うので。
 
さてさて、主人公の田舎は、実は自分の出身地がモデルなのではないかと、密かに勝手な解釈をしてまして。そんなわけで、実家を思い出してしまい、父母に重ねてしまうシーンもあり、ホロリとさせられました。いや、割と泣いたかもw
(重松さん岡山出身やし、あながちありえなくもないというか。)
 
ほっこり、これからの春を迎える前に読んで故郷を想ったり、これからの新たなステップを踏み出す気持ちを思い出しながら読んでほしい。
 
かしこ。。。